開発プロジェクトストーリー

こちらでは開発時のエピソード等を交えた、プロジェクトストーリーをご紹介しています。
DELTA TOOLING CORPORATE SITE
Back to TOP
Mu-Len商品
開発プロジェクトストーリー
ニュースリリース
会社概要
資料請求
開発プロジェクトストーリー 〜快適性の追求〜
バネ0技術の着想
クッション性を追求していくと、あることに気づいた。バネというのは、押せば反力が来て、引っ張れば戻ろうとする反力が生じる。つまり、力の方向とは逆方向への力が発生する。ところが、負荷質量とばね力が、反力のない状態では、平衡を保って安定した状態がある、これをバネ0(ゼロ)と呼ぶ。

すなわち、この安定した状態はある1点だけであるが、この状態が1点ではなく、ある程度の間継続させることができれば、その間はかかった力の吸収(減衰)力に繋がるのである。

磁石には、N極とS極があり、違う極どうしを近づけると引き合い、同じ極どうしを近づけると反発力を生むことはよく知られていることである。同じ極どうしの反発は、バネと似ている。
すなわち、一定距離以上縮めようとすると押し戻される。逆に、距離を離そうとした場合に戻す力は働かない。ここで磁石の形状と各極の組み合わせを工夫し、金属ばねと組み合わせることで、距離を離そうとすれば、他方の極どうしの反発力で戻す機構が考えられる。
どちらかの極に近づくまではバネ0、つまり平衡状態を保つ仕組みが実現できたのである。これが磁気バネの原型である。

実現の課題となるのは、まずは極どうしの反発力(磁力)である。バネ並みの反発力を磁力で再現するには強力な磁石が必要になる。これを叶えたのが『ネオジウム磁石』だ。
この磁石の力は強力で、一旦くっつけば人の手では容易に離せないほどである。事実、この磁石に指をはさまれ、骨折した(骨が砕けるほどの状態)という例もあるくらいだ。このネオジウム磁石で反発力はクリアできた。

次は、磁石どうしの組み合わせだ。反発力と減衰力を高めるために、さまざまな振動試験が繰り返された。こうしてチューニングされた磁気バネは、振動試験機で揺れを起こしても、その振動を見事に吸収する。試験中に磁気バネの上に水をなみなみと注いだコップを置いても、磁気バネが振動を吸収するおかげで、水面は一向に動くことがない。クッション性へのこだわりが、世界初の磁力によるダンパーを実現したのである。
BACK