開発プロジェクトストーリー

こちらでは開発時のエピソード等を交えた、プロジェクトストーリーをご紹介しています。
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開発プロジェクトストーリー 〜快適性の追求〜
ドライブシートに託された思い
もう15年以上も前の1987年のことである。当時技術部長であった頼実氏の言葉が快適性への取組みのきっかけだ。
「いいシートというのは、座っていることを忘れるようなシートのことをいうんじゃないかな。」
この言葉を常に頭の片隅に浮かべながら、座り心地に優れると言われる欧州車のシートもしらみつぶしに座って回り、その良さの秘訣を探ろうと努力した。
フランクフルトのモーターショーでは、まわりからの冷たい視線に耐えながらOPELのシートに2時間も座り続け、感触を体得しようとしたほどだ。

素材の面でも、さまざまなものを試した。最近では低反発枕などに使われている粘弾性ウレタン、ポリエステルファイバークッション、ゲルなど、クッション性が良いと言われている素材は、とにかく見て、触って、作って可能性を検討した。
これらの素材は、いずれも優れた特徴を持っているが、「自動車シート」という利用環境を考えると、課題は多かった。
この時ふと、ヨーロッパで見たパンストの丸編み機が浮かんだ。編み物・織物はクッション性のかたまりである。この当時入手したスペースファブリックという素材をベースに立体織物の開発が始まった。

しかし、開発は容易ではなかった。シート技術で進んでいるドイツの技術者からは「立体織物だけでのシートは不可能!」と一笑された。確かに剛性面などさまざまな課題がある。太い糸で織って、強度を高めようとしても、なかなか糸を作ってくれるところもない。途方に暮れかけたところに偶然めぐりあったのが「3次元立体編物」である。実に着想から10年近く経過していた。

取組みのきっかけとなった頼実氏は、この10年を暖かく見守ってくれていた。そんな頼実氏も、すでに引退となる年齢である。引退を間際に体調を崩し、めまいを伴う症状があり、まともに歩くことができない。そんな頼実氏は、シート開発チームのメンバを呼び出しては自分を背負わせ、自らの脚代わりにさせていた。
しかし、これはいじめでも、いやがらせでもない。ある日、突然のように気づいた。『なぜ背負わせるのか?』ということに。

人間の身体こそが最高のクッション性を持っており、最も心地良いのだと。このことを背中におぶった頼実氏に話をすると、ポカリと頭を殴られた。「やっと気づいたか。バカヤロウ。」これが頼実氏最後の教えであった。

「筋肉により近い特性こそが、理想的なクッション性」。
これが長い時間をかけて、たどりついた答えであり、我々の取組みの原点である。
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